今野緒雪『マリア様がみてる 仮面のアクトレス』(集英社コバルト文庫)

新刊ゲットです。

前回がお正月だったので、次は三学期。
三学期といえば、受験生は学校に来ないはず。

……

あれ?
今の三年生って、祥子様方じゃありませんかっ!!
って、もう時期卒業?

今更ながらのことにびっくりしている私です。

どーしてかなー。
物語の大き流れがあまり動かず、祥子様と祐巳のほのぼのとした心の触れ合いに目をとられて、時間の経つのを忘れていたようです。

どうやら私は、祐巳の妹選びにはあまり興味がないようです。
祐巳に妹ができて初めて、祥子様にも祐巳にも大きな成長がある、いつまでも二人きりではいられない、ということは解っているのですが。

うーん。やっぱり、祐巳が特定の誰かお姉様になるっていうのが、しっくりこないのかも。
だからといって、祥子様と祐巳の間を、妹に邪魔してもらいたくないっていうのとも違うんです。
なんだろう?
やっぱり、瞳子ちゃんが祐巳の妹としてしっくりきてないからなのかなぁ。

それって、進級してからの巻を全否定したことになっちゃう?

うーん……

黄薔薇組はスタンダードに姉離れ・妹離れが進行中。
「黄薔薇、真剣勝負」
は、由乃の自転車にチャレンジする話と、剣道の試合がうまくリンクして、こういう短編って大好きです。

それと、祥子と令の二人きりの短編。
こういうのは、ネタバレ的で、書くんだったら本編に入れたら? って思わないでもないのだけど。今回は、物語がずいぶん動いたので、こういう茶飲み話の穏やか雰囲気で終わらせるのはいいかも。
あるいは。
卒業する二人は、本編からは徐々に退場、ということなのでしょうか。
 
今野さんは、構成の妙というような短編、得意な気がします。
「イン ライブラリー」とか、短編番外編集のまとめ方とか、すっごく好き。

由乃の妹選びは決着し、残るは祐巳のみ。

祐巳3年生の話までシリーズを続けるかどうか、気になるところ。
ほんと、どうするんだろう。

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雪乃紗衣『彩雲国物語』(角川ビーンズ文庫)

面白い!

夢中になって、既刊(番外編を除く)全てを読みました。

もっと早く読んでおけばよかった!

と後悔しながらも、

一気読みできる幸せ!

大人っていいなぁ。シリーズものの大人買い一気読み。大人の特権ですね。
サラリーマンやっててよかったと思う、この瞬間。

さて。そもそものきっかけ、とある土曜の朝。
週末につき、普段あまりじっくり見ることのない新聞のBSの番組表に「機動警察」の4文字を発見!
確か、NHKBSのこの時間帯はアニメなはずで、そして「機動警察」と言えば、やはり

パトレイバー

でしょう。と、わくわくしながらBSを見ようとしたのですが、わが家のBS、今時専用チューナーで受信して、テレビに出力しているという、一体いつの時代の家電なのさ! というありさまで。しかも、チューナーとテレビの間には、ステレオやビデオやHDレコーダーが噛んでいて、もうどれのスイッチを入れたらBSが見られるか、セッティングした人じゃないとわからない状況で、配線を追いかけていろいろ試したけど、結局は見られず(くー)。
最終的な敗因は、アンテナの向きがちょっとずれていたから、というギャグのような落ちで、BSの視聴方法を学習した私は、翌週、意気揚揚と「機動警察」を見ることができました。
が。
丁度、2課ご一同様が、ご神木の祟り騒動に巻き込まれる回で、今三つぱっとしなかったんです(同じゆーれーものなら、廃屋で訓練の話の方が面白いのに。あれって、OVA?)。
それで、だらりとテレビをつけていて始まったのが、「彩雲国物語」でした。

世間知らずの王様が、恋しい主人公への贈り物に藁人形を送る、というシーンに心わしづかみで、つい、ふらふら~っと本屋に行って、本をめくったら、あとは一気でした。

とはいえ、「彩雲国物語」との出会いは、アニメが初めてではありません。
「彩雲国物語」が人気シリーズであることは、知っておりました。
本屋に行けば、平台に積んでありますから、目立ちます。
っていうか、一応ビーンズは、高殿円氏のホームグランドなので、一通りチェックしています。しばらくは、雑誌のビーンズも購入していましたし。
ですので、作者雪野紗衣氏の第1回の角川ビーンズ賞の選評とかコメントとかも目にしていてますし、1作目発表後、書評サイトはどこでも軒並み好意的でしたしね。

貧乏暮らしだけど家格だけは高い家のおじょーさまが、やる気ナシの王様のお妃として後宮に上がり、教育係として根性叩き直すアルバイトを引き受ける、というお話。家格は高いけど貧乏という設定そのものに乗れなかったのと(まあ、昔話には没落した貴族の家の娘が……っていう話は沢山ありますが)、主人公の周りにはやたらとイイ男がわらわらしていて、しかも主人公モテモテという設定が胡散くさくて。
どうも、苦手なんです(涙)。総受け系のモテモテ話って。
しかも、中華風ファンタジーといえば、「十二国記」が有名ですが、あれの強烈さかげんは一種のトラウマで、同種の設定のものに伸ばす手を引っ張るって言うか……
あの藁人形(のシーン)には、私の中のもやもやしたものをふっとばす勢いがありました。

そもそもの話は、主人公がアルバイトで後宮に妃として入りなまくらな王様の根性を叩き直すというの話ですが、シリーズ化されると話の方向がちょっと変わりました。
主人公紅秀麗が初の女性官吏として活躍する、女の一代記、といった様相を呈しています。当然、主人公の成長たんでもあるわけです。
そう。私好みの話だったわけです。

中華風ファンタジーしかも主人公の成長*ということで、「十二国記」とダブる側面もあるのですが、読んでいる最中は「彩雲国物語」の世界にどっぷりで、思い出すこともありませんでした。
違う話なので違うのは当たり前なのですが、そういうところを抜きにしてもやはり違うなぁ、と。
主人公陽子にしても高里にしても、基本的に自己否定・他者否定の中から、自分を掴み取っていく話で、主人公たちの逡巡も巻き込まれる出来事も、主人公に容赦がない。極限に追い込まれた辛い環境のなかで、ようやく掴み取ったからこそ陽子は強く優しくなれるわけで、小野不優美氏は自分を掴み取るに至る葛藤こそを主題として描いたわけです(高里はまだその過程。数年前に予告されていた新刊はどうなったのしょう)。
一方「彩雲国物語」の主人公秀麗の寄って立つ精神的な基盤は物語が始まる前に完成されており、その苦しい過程を主題として物語としては描かれていない。あくまでも秀麗の過去の話として語られるに留まり、読み手は物語の手法で作者に説得されていない。結局、ここが物語に乗れるか乗れないかの分かれ目。そのあたりの薄さがちょっと気になったものの、それ以上に初の女性官吏としての誠実に困難を乗り越えていく姿が描かれる物語がとても面白く、引き込まれているのです。まるで、彩雲国の住民になったような気持ちになりながら。

もう一つ。「彩雲国物語」を気に入った理由があります。
文章のリズムがとても良くて、読んでいて楽しいというのがあります。
中華ファンタジーらしく漢文調で語られる部分もあるのですが、ベースとなる今風な口語と上手く混じって独特のリズムになっていて、それが私にはとても心地よく感じます。ギャグも「さぁ、笑え!」というような作りこみじゃなくて、あのキャラクターならそうだよなっていうギャグ。私が心引かれた、王から秀麗へのプレゼント攻勢も、アニメで見てもテンポが良くて面白かったのだけど、文章で読むとなおさらです。好きだなぁ。
さりげなく書かれた一言が、実は伏線だったということもかなりあって、結末を知ってから読み返すと、あぁこんなとこにもあんなとこにもっていう再発見が楽しくて繰り返し読み直しています。

と、いうことで、「彩雲国物語」、今、とっても気に入っているのです。

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漲月 かりの『BLOOD+ ロシアン・ローズ』Ⅰ(角川ビーンズ文庫)

4月末から5月にかけて、角川書店から漫画・小説のBLOOD+が計5冊も発行されました。

BLOOD+キャンペーンと称し、大々的なメディアミックス展開をしています。

どうやら、アニメの制作と同時進行で漫画・小説の企画も進行していたようですね。『ビーンズ・エース』とか『CIEL』とか、良く知る雑誌の名前がクレジットされていましたが、そういう事だったのかと、今更ながらに納得です。ダメだなぁ、最近こういう情報にほんと疎くて。

さて。この『BLOOD+ ロシアン・ローズ』Ⅰ、背表紙がオレンジ。オリジナル作品のビーンズ文庫は青ですが、ゲームやアニメのノベライズのシリーズはオレンジになります。創刊当時は二本立てでいきたい雰囲気がなきにしも非ずでしたが、アッという間に見かけなくなり、今回その復活。懐かしい友人と再会したような気分です。(そういえば、あれってアンジェリークのノベライズだったような?(違ってたらゴメンナサイ、って謝る前に調べろ! ですね) だったらビーンズの方向性って、最初からそうだったんだって、こちらも今更ながらに納得)

作者の漲月 かりの氏もお懐かしい名前で、ビーンズ文庫賞の前身(?)の角川ルビー文庫賞ティーンズ文庫部門で賞を取ってデビューした方です。デビュー作がアクションものだったので白羽の矢がたったのかしら? (それにしても、同期でデビューしたこずみ那巳氏は今はどうなさっているのでしょう。新作が読みたいなぁ)

そんな年寄りの繰り言はともかく。

アニメ本編のロシア編で若干の回想シーンで触れられたソーニャ(グレゴリー)殺害の前段(っていうか、本編)にあたります。動物園での惨劇から約30年後、ロシア革命直前という時代設定です。

主要人物は、サヤ・ハジの他に、赤い盾側としてマクシム・ヴァレリ・ロジオン・エドアルド・lキリルという美形の青年将校がいます。彼ら5人は、ジョエルの研究成果による人工授精により誕生したという設定。
赤い盾からサヤ(とハジ)が与えられた任務は、ロシアに闊歩するという翼手の情報を収集し、殲滅させることで、5人はサヤのサポートを担っています。翼手は王室の周辺に出没することから、サヤはお嬢様を装って、社交界に潜入して……というのが、本編の粗筋で、所々動物園でのサヤとディーバとの出会いや、サヤとハジとジョエルの懐かしい日々が回想として織り込まれています。

面白そうな予感はあるものの、全体としては話は殆ど進んでいません。

とはいえ、この話の読み所は、

ハジ

サヤも、まだワガママなおぜうさま気質を色濃く残し、そしてハジも

サヤおぜうさま、命!

美形将校5人組の誰かと仲良くしている姿を睨み付け、あまつさえサヤの悪口を言うヴァレリクンにナイフを突き付けて八つ当たり。
更に、お茶淹れ、茶菓子を手作りするなど、家事万能な執事君のようですよv

アニメ本編では、無表情に淡々と「貴女が望むなら」とかしずいているハジとは大違いなハジが、とっても新鮮です。

ハジ×サヤさんには、オススメの一冊です。




で、以下、ちょっと小さくどうかなぁ、と気になった部分を書いてみたいと思います。
サヤは、フランス貴族の隠された娘として育てられたなら、一通りのレディ教育を受けたと思うのですが。
どうも、アニメ本編の高飛びをやっていた体育会系の娘っていう、イマドキのお嬢さんな印象が強いのですが……
例えば、ダンスが踊れなくて、ロマ出身のハジのリードで乗り切るとかいうのも、それってどう? なシーンでしたし。
そもそも、チェロを弾くっていうのが、お嬢様の教養で弾く楽器としてはどうなのかしら? とか。
ピアノとか、詩の朗読とか、の方が必修っていう印象なんですけどね。
いえ。なんとなーく違和感って言う程度、とっても細かいいちゃもんです。

それと。
赤い盾。途中で、ダイアモンドとか石炭の流通(それどころか世界経済)を牛耳っている、みたいな発言がキリルからあったのですが、アニメ本編の赤い盾って、そんなに大きな組織なんですか?
ジョエルって、そんなに大物?
こちらもちょっと違和感を感じた描写でした。

こまかーい。

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谷瑞恵『魔女の結婚』(集英社コバルト文庫)

読んでみて、人気がある理由が解りました。面白い!
ケルトの巫女姫は、運命の男性と出会い、結婚するために、1,500年の時を眠り続けていた。目覚めた彼女は、果たして運命の人に出会い、無事結婚願望を成就させることが出来るか?! という、物語り。
主人公エレインの探す、運命の人が、所謂ケルトの運命の輪の「運命」である、という途中でわかる裏の設定が、見かけの軽さを払拭します。運命の人に、いつ気が付くのか、続きが非常に気になります。

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『女神の花嫁』後編(集英社コバルト文庫)

いやー。たまげました。ここまで作品の手の内を曝してしまうと、これからどのように先が展開していくか・・・と。

この流血女神伝。架空の大陸上の各国の攻防を背景に、神に魅入られたカリエという少女の流転の人生を描く、大河ドラマです。山奥の猟師の娘が病弱な王子とうり二つだったことから、身代わりに王位継承の陰謀渦巻く宮廷に乗り込んで、一騒動。結局宮廷から脱出したところで、奴隷商人に捕まり、砂漠の新興国の第2王子の后になったり。そこでも王位継承紛争に巻き込まれて、海賊船に身を隠したり。

と、書くとなんとも陳腐な物語に見えるかもしれません。が、シリアスです。
文章も心理描写も世界設定も、非常に綿密で、読みでがあります。
今、続きが気になるラノベのNo.1といっても良いです。

奥行きのある物語なので、この良さをちょっと日記で書くのは無理。
うん。本当に読み応えがありました!

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喜多みどり『天空の剣』(角川ビーンズ文庫)

第一回角川ビーンズ小説賞の奨励賞を受賞した作者による、デビュー第一作、書き下ろし。
通常、入選作が第一作になるのに、あまりに暗い(救いがない?)ので、新たに書き下ろしたとか。
世界を侵す酸の源を立つため、旅に出る女剣闘士と傭兵と魔法使いの話。
小説賞の受賞作を読めば、文庫の方向性が見えてくる、との書評サイトの発言を見てなるほどと思い、購入してみました。
ああ、ビーンズってこういう方向を目指しているのねって、よく解る一作。
前田珠子とかデビューしたあのころ流行ったファンタジー小説の雰囲気そのままという印象を受けました。
こういう路線で頑張るなら、しばらくビーンズ読んでみます。
高殿円氏の新作も来月は出版されるし。
私には懐かしく感じましたが、面白いと思うには、今一つ。
非凡な過去を持つ非凡なキャラクターという設定にもかかわらず、どんな風に非凡であるかストーリーで説得されないので、キャラクターが薄い印象を受けました。作品世界は、ローマを模して、かなり作り込んであるのに、肝心の主人公が舞台設定を生かした活躍をしていないのが残念なところ。
この作者の作品を、また購入して読むか?
微妙。古本屋で見かけたら速攻で買うけど、新刊はなぁ。
むしろ受賞作『呪われた七つの町のある祝福された一つの国の物語』が読みたいです。
これ、タイトルの勝利だと思います。非常に魅力的。

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谷瑞恵『魔女の結婚-終わらない恋の輪舞-』(集英社コバルト文庫)

雑誌『Cobalt』に掲載された短編2本と、書き下ろし1本の、短編集。
主人公エレインとマティウスの旅の始めの頃と、旅が長くなった頃の話と、列べて読むと2人の関係が微妙に変化していくのがわかって、面白いです。エレインが、マティウスを運命の人であると認める日が楽しみですが、多分無意識下では気が付いているのだけど、見ない振りをして、結局は気が付いていないエレインのミーハーぶりが、とても可愛く感じます。機会があったらまた読みたいです。

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